秩父の木が家になるまで

はじめよう!「木育」

秩父市では、ウッドスタート事業として誕生祝い品に木のおもちゃをプレゼントしています。

秩父の山からどうやって木がでてくるんだろう?

こんにちは、森林組合の磯部です。
森の活人たちにはお仕事でお世話になっています。
山から木を生産する「素材生産」のお話をさせていただきます。

頼りになります!スギとヒノキ

秩父市大滝のスギ・ヒノキ人工林
日本の住宅で使われる国産材は、主に植林されたスギ、ヒノキなどが中心です。どちらも建築用材としてとても優秀な木で、古くから日本人の生活に深く関わってきた木ですね。
高性能林業機械(スイングヤーダ)
今、戦後に植林されたスギやヒノキなどの人工林の木が大きく育って、秩父地域も含め、日本各地で人工林が「伐り旬」(きりしゅん)を迎えています。秩父にもたくさん人工林がありますから、日々、森林組合や生産業者さんが木を伐り出しています。

伐採から造材へ

チェンソーを使っての伐倒作業

木を伐り倒す作業は、多くの場合チェーンソーで一本一本行われます。山の木から木材として生まれ変わる第一歩ですね。
建築用材としての良い木の条件としては、あまり先細りしていないこと、断面が正円に近いこと、年輪の幅が小さく、目がつまっていること、節が少ないこと、腐りがないこと、キズがついていないことなどが挙げられます。
秩父の木は、気候や土地の条件から、他の地域の木と比べて強度の面で優れているといわれています。秩父材を使えば、丈夫で長持ちする家を作ることができるんですよ。

チェーンソー!憧れるなあ!

木の枝をきれいに取り除いてから、1本の木を一定の長さに切っていく「玉切り」(たまぎり)を行います。木は、細長い円錐形(えんすいけい)をしていて、下に行くほど太く、上に行くほど細くなっています。
例えば、住宅の柱として3m、土台として4m、通し柱として6m、梁(はり)として5mか6m、といったように、用途に合った長さで切り分けていきます。1本として同じ木はないので、どうすればその木を無駄なく使えるようにするかが、職人さんの腕の見せ所ですね。

山からの搬出

玉切りされた丸太は、「山土場」(やまどば)と呼ばれる道路わきの一時集積場所まで運ばれます。搬出には大きく2つの方法があって、トラックが通れる道路まで木を搬出するために、「作業道」という搬出などのための道を作ってクローラ(履帯)(りたい)付きの運搬車両等が丸太を運ぶ方法と、架線を張ってロープウェイのように丸太を吊って引っ張り出す方法(索道)(さくどう)があります。
秩父の山は急峻(きゅうしゅん)な場合が多いので、場所に応じて効率よい方法を選ぶことがとっても重要なんですよ。

険しい山にも木を植えた昔の人ってすごい!

山土場に積み上げられた丸太は、丸太専用のトラックに乗せ替えられて山を下っていきます。

丸太がどうやって材木になるんだろう?

どうも、金田製材の金田です。
同級生の活人君のたのみとあらば、喜んでお話しさせていただきますよ。

原木から木材へ

秩父広域森林組合木材センター

山から出てきた丸太を製材所が調達する方法は何通りかありまして、自社の山や立木を買い取った山から直接搬出してくる方法や、近郊の原木市場(げんぼくいちば)(秩父では秩父広域森林組合の木材センター)で買いつけてくる方法があります。その他には、お客様の持ち込みによる製材(賃挽き)(ちんびき)などもありますね。

丸太がいっぱいだぁ!

「木取り(きどり)」が命!いざ、製材

製材機(帯ノコ盤)
これは製材機といいます。台車に皮を剥いた丸太を乗せて、レールの上を行ったり来たりしながら、回転するベルトの様なノコギリ(帯ノコ)(おびのこ)に木を通して真っ直ぐに木を挽(ひ)く機械です。

一本の丸太からどんな部材をとるか決めることを、「木取り」(きどり)と言います。木の太さや曲がり方、乾燥の度合など、状態を見極めながら、どんな板や角材を一本の丸太から効率よく取っていくかが腕の見せ所ですね。
住宅の部材って色々種類がありますので、強度が必要なのか、見た目の美しさが必要なのか、部材に応じて挽くことが求められるんです。

必要に応じて切り方が変わるなんて、お料理も製材も同じなのね〜。

木材は乾燥がとっても大事

製材した後、木材を積み上げて乾燥を行います。木は、山に生えているときに、根っこから吸い上げた水分を多く含んでいて、製材後、乾燥が進むにつれ、収縮による変形が起きます。水分が多い「生」の状態で建築に使うと、家になってから乾燥が進むにつれて木材がゆがみ、問題を起こしかねません。だから乾燥はとっても大事なんですね。
木材の乾燥には2つの方法があって、1つはそのまま自然に乾燥するのを待つ「天然乾燥」と、もう1つが乾燥庫に入れて人工的に温度を上げて、短期間で水分を飛ばす「人工乾燥」です。ちなみに、乾燥庫のボイラーの燃料は、最初にむいた木の皮も使ってるんですよ。

木の皮を燃料でリサイクルしてるんだ!

「プレカット」ってなんだろう?

乾燥が終わったら、仕上げや寸法調節などをして、材木屋さんや工務店さん、プレカット工場場に出荷します。

「プレカット」とは何ですか?

プレカット加工された部材
プレカットとは、大工さんが建築現場で部材どうしを接ぐためにホゾ穴をつくったりする「刻み加工」(きざみかこう)を、あらかじめ工場で加工することをいいます。昔ながらの刻みをやっている大工さんももちろん健在ですが、プレカット材は現場で組み立てればいいので、工期も短縮することができるんですよ。

木材といっても姿はさまざま

秩父消防部北・南分署2階廊下には、集成材の梁が使われています
丸太からそのまま切りだした木材を「無垢材」(むくざい)といいます。その他に、断面寸法の小さい木材を接着してつくる「集成材」(しゅうせいざい)や、丸太を薄く剥いて貼り合わせた「合板」(ごうはん)など、木はさまざまな形で住宅に使われています。現在も、木を素材とした高い強度の建築材が開発されるなど、大きな建築物にもどんどん木を使っていこうという動きがあるんですよ。

確かに、日本ってこんなにたくさんスギ・ヒノキがあるんだから、家だけじゃなくてビルみたいな大きな建物にも使える素材ができればすごいですね!

木を使った家ってきもちいい!

いらっしゃいませ、丸川工務店です。
いや〜森さん、いつもお世話になっています。
今、モデルハウスの見学会をやってますんで、どうぞ寄って行ってください!

気に入っていただけて良かったです。ここの床は秩父産のスギの「無垢材」(むくざい)を使っていまして、素足で歩くと本当に気持ちが良いから、特にお子さんに大人気なんです。他にもいろんな効果があるんですよ。

木は呼吸する素材(調湿作用)

木材と漆喰との組み合わせ
学校を木質化したら結露が出なくなったと聞いたことはありませんか?木や漆喰(しっくい)などの自然素材が湿度変化に応じて吸放湿を繰り返し、室内の湿度調整をしてくれているんです。
木材と自然素材を組み合わせて使うことで、花粉症などのアレルギー症状やインフルエンザの発生を抑える効果があるとも言われています。

木は伐った後も生きているんですね。

そういえばこの子たちの保育園も、木質化したらインフルエンザにかかる子が少なくなったって、先生が言ってたわ。

夏涼しく、冬は暖かく(断熱作用)

木材の細胞のひとつひとつは熱を伝えにくい空気を含んでいるため、コンクリートなどに比べ高い断熱性をもっています。また、使う木の厚さを調節したり、断熱性の高い外壁、屋根を採用するなど、様々な工法(※)を組み合わせることで、夏涼しく、冬暖かい空間を作り出せます。
※温熱環境設計、パッシブハウス、グリーンエア工法など

木がクッションになる(衝撃吸収作用)

小さなお子さんや高齢の方がいるご家庭では、ケガを心配されると思われますが、木の細胞が柔軟に変形しクッションのように衝撃を吸収してくれるので、床や壁に木を使うことは転倒などによるケガの防止にもつながります。

うちのやんちゃ坊主もこれなら安心だな。

実は火に強い?(防火作用)

木は燃えやすい性質をもっていますが、ある程度の太さや厚さがあれば、燃えても表面に炭化層をつくるだけで火は内部まで進行しないため、強度が低下しにくいと言われています。
また、ブラスチックなど、化学物質が含まれる素材が燃えると危険な有毒ガスが発生しますが、木の場合はそういうことがありません。

それは知らなかったな。木造の家は火事に弱いと思っていたから。

癒しの空間(リラックス作用)

それから何と言ってもリラックスできる空間であることですね。目に有害な紫外線を吸収してくれたり、音をやわらかく伝えたり、木の香りがリラックス効果をもたらしたり、健康に良い効果がたくさんあります。

そういえば、いつもは一緒に遊んでいてもケンカが絶えないうちの子たち、おじいちゃんからもらった木のおもちゃは仲良く遊んでいたなあ。

子どものためにもリラックスした空間で健康に過ごしたいわね。

森の活人インタビューもチェック!